どうしてそう考えるのか聞いてみる

  • 2021.11.19

誰かがどうしてその決定をしたのか分からないことはありませんか。それは人それぞれ価値観が異なるからです。理解できないということは、その人とあなたは価値観(判断基準)が異なります、そこでそれはおかしいと決めてしまうとすれ違ったままです。家族内はもちろんですが、医療者との治療方針決定のやりとりで、どうしてそういう考え方をするのか分からないと感じた時には、ぜひ「それは何故そう思うの?」、「どうしてそういう治療選択肢になるんですか?」と聞いてみてください。その質問は、相手の価値観を理解して、お互いの価値...

貼り薬について

  • 2021.11.19

貼り薬というと湿布をイメージする方が多いかと思います。貼り薬の進歩は著しく、湿布のような貼った場所にだけ効果のある治療薬だけでなく、最近では24時間効果持続タイプの医療用麻薬貼付剤(フェンタニル貼付剤)が癌に伴う痛みで飲み薬の使用が困難になった場合の選択肢として利用されてきました(飲み薬困難だけでなく、その他の医療用麻薬と比べて眠気や便秘などの副作用軽減につながることもあります)。さらに最近になり、ロキソニンのような一般でもなじみ深い通常の痛み止め成分(NSAIDSといいます)の貼り薬が使用で...

家族力動

  • 2021.11.19

「集団力動」と「家族力動」という二つの言葉があります。「集団力動」は朱に交われば赤くなるというように、個人が特定の集団に及ぼす変容を指しています。「家族力動」は集団力動の集団を家族に当てはめた言葉になります。 家族も集団(社会や職場、ある種のコミュニティーなど)と同様に、一人一人が役割を担って普段から生活をしています。大人が仕事をして働いたり、家事をしたり、子供は学校へいったり、祖父母が孫の世話をしたりなどです。一見安定した生活がずっと続いていくような錯覚に陥りますが、誰かが病気になり役...

栄養の考え方、使い方

  • 2021.08.23

当院に8月より管理栄養士がスタッフとして加わりました。細かな栄養指導を行うための戦力アップです。 栄養は重要です。一方で適切な時期、量を誤ると体への負担が大きくなります。 食べられないから、すぐに点滴をどんどん実施するとむくみや胸水や腹水がたまっている状態では、余計にからだの水分が増えていってしまうことがあります。病状によっては、無理に栄養(点滴)を実施せずに自然な形で、とれる分だけの水分や食事で対処する方が、余分なからだの水分を自分自身がうまく体の中でつかってくれて、腹水やむくみ...

訪問看護は重要です。

  • 2021.06.19

自宅で療養をしたいと思ったとき、壁になるのは自宅での医療的ケアです。点滴をどうするか、体がつらい時にどうやって入浴や着替えをするのか、通常の排泄が難しくなった時の排泄方法、症状がつらく薬の使い方を迷う時のサポート、このような問題をサポートしてくれるのが訪問看護です。訪問診療(あすなろ医院が実施しているような自宅での医療)のみでは十分なケアは実施できません。訪問看護と協力することで初めて、つらくなく自宅ですごしていける体制が整います。事業所はことなるため費用負担の問題などが発生してしまい、薬や点...

皮下点滴について

  • 2021.06.19

医療では点滴での治療が必要となることが多いです。一方で点滴治療を長くおこなっていると血管が硬くなったり、細くなったりして血管に管をいれることが難しくなることも多いです。こうした患者さんは抗癌剤治療を長くされてきた方に非常に多く、症状を緩和するための薬剤の投与が困難な場合があります。緩和ケアではそのような場合でも必要な薬剤が投与できるように、経験的な方法で皮下点滴(血管の中ではなく、皮膚の下に点滴をいれて投与する)を行うことが多くあります。水分補給だけでなく、抗生物質や止血剤、胃薬など様々な薬剤...

アナモレリン使用開始となりました。

  • 2021.06.19

日本発の悪液質による食欲低下、体重減少の回復を目的としたグレリン受容体作動薬アナモレリンが販売開始となりました。期待されていた薬剤ですので、使用対象となる患者さんと相談の上で、治療を始めていく方針です(対象となる癌の種類が限られています)。治療を行うには研修を受けた医師に相談する必要があります(イーラーニングが必要)。アナモレリンの対象となる癌以外の方は、同様の機序で効果が期待される漢方薬などで代替していくことになります。 ...

医療における方針決定について

  • 2021.06.19

何かを買う時、行動する時、毎日の生活の中で私たちはいろいろな意思決定をしています。今日は何をどこで、だれと、食べましたか? そうしたこともすべて何気なく行っている意思決定です。 医療においても同様に治療方針を決定していく必要があります。どうやって治療するのか、どちらの治療を選ぶのか、療養場所をどうするのか。自分だけで決定することは難しいため医療者から十分な情報を提供してもらい判断していく必要があります。しかし医療分野では意思決定が困難になってしまっている方が少なくありません。なぜでしょう...

つらさの緩和

  • 2021.04.01

日本では最近になり安楽死の問題が取り上げられることが多くなってきました。安楽死問題は様々な課題を含んでおり、一律に論じることはできません。安楽死とは一線を画して、苦痛緩和のために眠気を味方につらさを和らげる方法を苦痛緩和のための鎮静と呼び、命の短縮を目的としない症状緩和治療として様々な研究、実践が行われています。安楽死は死を意図した医療行為ですが、苦痛緩和のための鎮静は、文字通り苦痛を和らげるための治療であり、死を意図したものではありません。ご本人のつらさ、意向、ご家族の意向、複数の医療者によ...

リハビリの意義

  • 2021.04.01

リハビリテーションと聞いてどのようなイメージを持たれるでしょうか。多くは骨折後などの整形外科疾患の方が筋力トレーニングを行い日常生活へ復帰するための訓練というイメージかと思います。緩和ケアでのリハビリは、筋力を回復するために実施することは少なく、何とかベッド周りや自宅内、少し外出したり自身の身の回りのことを行うための機能を維持することが目的となります。自分自身で身の回りのことができなくなることは、心理的にもつらく自律性が失われてしまう感覚になります。そのような時にリハビリテーションを実施して立...

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