家族力動

  • 2021.11.19

「集団力動」と「家族力動」という二つの言葉があります。「集団力動」は朱に交われば赤くなるというように、個人が特定の集団に及ぼす変容を指しています。「家族力動」は集団力動の集団を家族に当てはめた言葉になります。

家族も集団(社会や職場、ある種のコミュニティーなど)と同様に、一人一人が役割を担って普段から生活をしています。大人が仕事をして働いたり、家事をしたり、子供は学校へいったり、祖父母が孫の世話をしたりなどです。一見安定した生活がずっと続いていくような錯覚に陥りますが、誰かが病気になり役割を担えなくなった場合には、家族それぞれの役割が変化していきます。祖父母が担っていた孫の世話を両親が担わないといけなくなる、家事を子供が担わないといけなくなるといった変化です。これに介護が加わってくるとヤングケアラーというような若年の介護者の問題が生じてきます(子供が子供の役割を担えなくなることは大きな影響を及ぼします)。医療や介護従事者は自宅療養、病院での療養を支援していく中で、この家族力動を意識した支援を提供することは非常に重要です。単純に病気の治療だけにケアの焦点をしぼっていくと近視眼的になり、気が付くとその人が生活していく環境が大きく変化、損なわれてしまうことがあります。医療者としては、家族力動(疾病罹患による家族の関係性、役割変化)に気をつけながら支援を提供していきたいと考えています。療養中は家族のことを医療介護関係者にぜひ話して相談してみてください。

PAGE TOP