がん患者さんの体重減少に対する薬剤

  • 2021.01.26

がんに罹患した患者さんにとって体重減少は日常生活に大きな影響を与えます。体重減少、筋力低下により外出が難しくなってきたり、自宅内での移動や着替え、入浴など普段は何気なくできていたような動作が難しくなってくることも多いです。食事をしても筋肉が落ちて体重が減少してしまうような病状をがん悪液質と呼びます。これまではこのような病状に対する薬剤として漢方薬(六君子湯など)治療であったり、ステロイド治療が行われてきましたが、漢方薬は飲みにくさがあり継続が難しいことや、ステロイドは副作用の問題もあり長期的に続けることは難しい場合がありました。今回、数年前から期待されていたアナモレリンという薬剤が春先までに一部のがん患者さんで使用可能になる見込みとなりました。この薬剤の使用により悪液質という病状が軽減し体重増加につながることが期待されます。体重減少は医療者にはなかなか相談しにくい症状であるにもかかわらず、日常生活に直結する影響を与え、不安も大きくなることが多いです。今回の薬剤によりもっとがん患者さんやご家族が医療者と体重減少に関して相談できるようになると期待されます。

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