医療における方針決定について
- 2021.06.19
何かを買う時、行動する時、毎日の生活の中で私たちはいろいろな意思決定をしています。今日は何をどこで、だれと、食べましたか? そうしたこともすべて何気なく行っている意思決定です。
医療においても同様に治療方針を決定していく必要があります。どうやって治療するのか、どちらの治療を選ぶのか、療養場所をどうするのか。自分だけで決定することは難しいため医療者から十分な情報を提供してもらい判断していく必要があります。しかし医療分野では意思決定が困難になってしまっている方が少なくありません。なぜでしょうか。
医療における意思決定の特徴は、1)選び直しがきかない(買い物と違い、体調は日々変化するためある日に決定したことをやり直そうと思っても同じ体調であることはない)、2)自分1人だけで決定することが難しい(家族のこと、仕事のことなど影響する要因がたくさんある)、3)正解が一つではない(どれかだけが正解ではなく、どれを選んでも一長一短がある)などが主なものです。
ではこのような決定をするためにどのような情報が必要でしょうか。
1)自分がどのようなこと、考え方を優先する価値観をもっているのか
2)選択するために必要な情報を十分に得られているか(事前情報、医療者からの情報)
3)選択するために必要な相談を家族内で行えているか
上記のようなことを意思決定前後で確認しておく必要があります。このような意思決定を切迫した状態でおこなっていくことは負担も大きくなります。主治医以外に主治医との話し合いをするためにどのような準備をしておくべきか相談できる医療者をみつけておくことが大切です。緩和ケアではそのような意思決定支援が重要な役割の一つになっています。