つらさの緩和
- 2021.04.01
日本では最近になり安楽死の問題が取り上げられることが多くなってきました。安楽死問題は様々な課題を含んでおり、一律に論じることはできません。安楽死とは一線を画して、苦痛緩和のために眠気を味方につらさを和らげる方法を苦痛緩和のための鎮静と呼び、命の短縮を目的としない症状緩和治療として様々な研究、実践が行われています。安楽死は死を意図した医療行為ですが、苦痛緩和のための鎮静は、文字通り苦痛を和らげるための治療であり、死を意図したものではありません。ご本人のつらさ、意向、ご家族の意向、複数の医療者による評価などを総合的に考え、通常の医療行為では対応が難しい場合に、日中も夜間使用する睡眠薬などを用いてつらさが和らぐ程度まで眠気を味方にする方法です。この苦痛緩和のための鎮静では、寿命を短くすることはないとがん患者さんを対象とした日本での研究結果が報告されています。
病状が悪化し差し迫った状況での判断は、患者さんやご家族、医療者にとっても重大な判断になります。多職種、多施設で判断、サポートできるような体制を作っていきたいと思います。