治らない病気との向き合いかた

  • 2020.10.18

治らない病気の代表として進行癌がありますが、がんに罹患した時に、多くの方がまず気にかけるのが家族のことです。一方で家族の立場では、本人の気持ちの負担が心配になります。このお互いの不安や気がかりは相手への思いやりから発生しているのですが、気をつけないと時にすれ違ってしまいます。家族に心配はかけたくないから、外来は全部自分で受診してその時に聞いた説明も家族には伝えない、治療方針の決定は全て自分で行う。そのような場合には、実際は家族は心配していて何も聞かされないことへの不安(本人には直接聞きにくい)が強まることが多いです、また一緒に治療していこうという家族内のまとまりを危うくしてしまうこともあります。一方で家族の立場では、最初に家族のみに癌の説明がされた場合には、本人には伝えないでおこうと考えられる場合があります。そのような場合には、最終的に本人の状態が悪くなってきて、癌による元にはもどらない、完全にはとれない症状が出てきたときに、どうしても本当の病名を知らない患者さん自身と家族の間でコミュニケーションが難しくなります。その結果としてお互い思いやっているのに、心を開いて率直な話ができないつらい状況になっていってしまうことがあります。

このような状況を避けて、家族で病気と向き合い、病気により家族の関係が逆に深まめていくためには、やはり最初から率直に家族間で情報を共有して、今後の話し合いをしておくことをお勧めします。最初の家族内での病状共有が難しい場合には、医療者に間に入ってもらうことも可能です。主治医や看護師などにぜひ相談してみてください。

PAGE TOP